魔法に囚われて〜誘拐されて溺愛されてます〜

安心したように微笑み、ユーゴが訊ねる。ジュエルは目をそらした。

「……その……私は……」

ジュエルは扉の方を見る。広い王宮のどこかに、レンがいるのだ。しかし一度も会っていない。心配ばかりが日に日に募り、ユーゴのことを考えている余裕はない。

その気持ちを察したのか、ユーゴがジュエルを離す。そして、言った。

「愛する人にそんな顔はしていてほしくないな。会わせてあげるよ。三人で夜の世界を散歩しよう」

「会わせてくださるのですか！？」

ジュエルは喜び、ユーゴの方を振り向く。そして安心したような笑顔を見せた。ユーゴの前で心から笑った瞬間だ。

「よかった。ジュエル、きちんと笑えるんだね」

ユーゴも笑い、ジュエルの手錠を外す。そしてお城の長い廊下を歩いた。ジュエルが行ったことのない場所まで辿り着き、ユーゴが扉を開ける。そこには、数週間ぶりに見るレンの姿があった。

「レン！！」

窓の外から星を眺めていたレンは、ジュエルの声に振り返る。そして、「ママ！！」と泣きながら胸に飛び込んできた。