魔法に囚われて〜誘拐されて溺愛されてます〜

誘拐されてからの生活をジュエルが話すと、フランチェスカは驚きため息をつく。

「あなた、レンに会わせてもらえないこと以外に国王陛下に対する不満はないの?」

ジュエルは紅茶を飲むのをやめ、考える。そういえば、フランチェスカにはレンのことしか話していない。

ユーゴは、ジュエルに優しく接してくれる。いつも「愛してる」とささやき、懸命にジュエルを口説く。キスやハグは当たり前のようにするが、ジュエルが嫌がるようなことはしない。ジュエルのことを一番に考えているようだ。

「レンに会えないこと以外はあまりないわ……。ユーゴ様は……とても優しくしてくださるもの……」

「……そう」

ジュエルの言葉にフランチェスカはうつむく。その時、二人を見張っていた兵士が「お時間です」と声をかける。フランチェスカが帰る時間だ。

「ジュエル、また来るわ」

フランチェスカはそう言い、ふわりとジュエルを抱きしめる。懐かしいその温度にジュエルは心地よさを感じた。

「ええ、いつでも待ってる」