魔法に囚われて〜誘拐されて溺愛されてます〜

そのまま走っていこうとしたジュエルだったが、体が急に動かなくなる。

「えっ?どうして!?」

ジュエルは必死に体を動かそうとするが、ジュエルの体は言うことを聞かない。ゆっくりとユーゴの方を向き、部屋に向かってまた歩き出す。

「や、やめて!嫌!!」

ジュエルは抵抗しようとするが、体はユーゴに操られ大人しく部屋に戻る。ジュエルは椅子に座らされ、ユーゴは扉を後ろ手に閉める。

「僕は魔法が使えるんだよ。君を操るなんて容易い。君は、もう僕のもの。逃げられないからね?」

ユーゴはジュエルに近づき、髪を掬い上げてキスを落とす。ジュエルはびくりと体を震わせた。

「レン……レンはどこにいるんですか?レンは怪我などはしていないのですか?」

レンの笑顔を思い浮かべ、ジュエルは泣きそうになりながらユーゴに訊ねる。自分で産んだ子供ではない。しかし、ジュエルにとっては一番大切な家族なのだ。

「ジュエル、君は本当に優しいんだね。こんな状況なのに真っ先に息子を心配する。……そんな人だと知って、ますます君を好きになったよ」