授業はすごくつまらない古典の時間。
だらだらと先生が話して黒板に書いていくのをノートに写す。

古典はおじいちゃんの先生。
この先生は、授業態度とかそんな見てないから真剣に授業を受けている子は少ない。


寝ていたり、こそこそ他ごとをしたりしている子が後ろからだと丸見え。


すると、何やら足元に白いものが転がってきた。


「あっ、わりぃ花町。
俺の消しゴム飛んでった」


どうやら藍野くんの消しゴムがこっちまできてしまったみたい。


「あ、拾うよ。ちょっとまってね」

机の下に潜って、足元に落ちている消しゴムを拾い藍野くんに手渡す。


「ん、サンキュー」

「いえいえ、どういたしまして」


そのまま身体を先に戻そうとしたら。


「……花町、教科書忘れたの?」

若干、低い声で聞いてきた。


「え?あっ、違うよ。
世唯くんが忘れたみたいで」


「じゃあなんで花町が机動かすの?
ふつう忘れた千景が動かすんじゃねーの?」


「うん、わたしもそう思ったんだけど……」