あなどれないね、世唯くん。




首を傾げて、ジーッと世唯くんを見るけど、相変わらず表情はそのままで何も読み取れない。


しかも教科書を忘れたのは世唯くんのほうで、見せるのはわたしなので、世唯くんから机を引っ付けにこればいいのに動こうとしない。


「いとがこっち来て」

「もう……」


なんでわたしが机を動かさなきゃいけないのって思いながら、世唯くんの言うことには逆らえないので机をガタンっとくっつける。


そして間に教科書を置く。


「はい、これでいい?」

「ん……」


って、せっかくわたしが机動かして教科書見せてあげてるのに世唯くん寝ようとしてるんだけど…!!


「えっ、ちょっ教科書……」

「ほらちゃんと授業聞かないとセンセーに怒られるよ」

「むぅ……」


何さ、なんのためにこんなことしたの…!
いつも世唯くんは謎だけど、今日の行動はもっと謎。


もういいや、世唯くんなんて無視して授業ちゃんと聞こう。