ど、どうしよう。
別に何かあるわけでもない……って言ったら嘘になるし。

でも、はっきりとした関係が成り立っているわけでもない……よくわからない関係。

なんだか、この一瞬でほんの少しだけ虚しくなった。


はっきりとした関係がないことが、こんなにもやっとするなんて。


お互いを名前で呼ぶことも、

手を繋ぐことも、抱きしめることも、

キスだって……。


すべて恋人っぽいことばかりしているのに……。


好きなのは、

求めているのは……わたしだけ。


だって、世唯くんはわたしには言えない……隠している人の存在がいるだろうから。


「花町?」

「……あっ、」

「急に顔色悪くなったけど」


藍野くんと話していたことを忘れていた。

目の前にいる藍野くんは、なんでそんな顔してんの?って感じで見ている。


すると、タイミングよく2時間目が始まるチャイムが鳴り、先生が教室に入ってきた。