あまり物には福があるってまさにこのことかもしれない。
席替えなんてそんな期待を膨らませるものじゃなかったけど、今こうしてただ座っているだけなのに。
隣に世唯くんがいるだけで胸のあたりがそわそわして、なんでかわかんないけどワクワクする。
視線に気づかれないように、チラッと横目で見てみれば頬杖をついてうとうとしている世唯くん。
こ、これが見れるのは隣の席の特権かもしれない…!
めちゃくちゃ可愛い……。
いつもお昼休みの20分しか世唯くんに触れられないし、見ることもできないから隣の席になれて万々歳すぎる…!
なんて、1人で世唯くんに夢中になっていると
「なー、花町?」
「うぇ……っ!?」
右隣からいきなり藍野くんに声をかけられて、おまけにわたしのカーディガンをチョンっと引っ張ってきた。
「ふっ、どんな声出してんだよ」
「やっ、藍野くんがいきなり声かけてくるし、カーディガン引っ張るからびっくりしたんだよ…!」

