艶っぽい表情でそう言った言葉に、逆らえるわけもなくて……。


「せ……い…くん……っ」

あまりに恥ずかしくて潤んだ瞳と、乱れた服と、乱れた呼吸。


「……あー、そんな煽るような顔しちゃダメでしょ?」

少なくとも、こんなふうになってるのは世唯くんのせいだよって言ってやりたいくらい…。


少しだけ熱を持った世唯くんの瞳がしっかりわたしを射抜いてくる。


「いけない子だね、花町さんは……」

「ちが……う……っ」


「何が?」

「花町さんなんて…呼ばないで……っ」


"花町さん"って呼んだり、"糸羽"って呼んだり…。

呼び方なんて、世唯くんにしてみたらただの気まぐれにしかすぎないのかもしれないけれど。


ただ、わかるのは……攻めるときと落とすとき、

世唯くんはわざと、下の名前で呼んでくる。

緩急のつけ方が絶妙すぎるから……。