あなどれないね、世唯くん。




わたしを余裕そうに見下ろしてくる世唯くんの真っ黒な瞳。

見つめられるだけで、心臓がバクバク鳴って身体中の血液が一気に巡るような気がして、熱くなってくる。


「あ……の……っ」

「……ほら、もう赤くなってきた」


「見ない……で……っ」

簡単に上がってしまった体温のせいで、顔がどんどん熱くなっていく。

恥ずかしさのあまり両手で顔を隠したけど、そんなのすぐにつかまれて。


「……ダーメ、隠しちゃ。
いとの顔もっと、ちゃんと見せて?」

イジワルくささやいて、甘い言葉で揺さぶってくる。


しまいには、顔をグッと近づけられて……。

唇が触れるまであと数センチで
ピタッと動きを止めて……。


至近距離で見つめられて、どこを見たらいいのかわからないのに、視点は目の前の世唯くんに合ったまま。


「……あーあ、そんな顔して。
食べちゃいたいくらい可愛いね……いと」