あなどれないね、世唯くん。




***


「あ、あの……っ、世唯くん?」

「ん……?」


「な、なんかこの部屋寒くない……かな」

「……そう?
いとのこと抱きしめてるから全然平気」


世唯くんはわたしが好きだって伝えてから、ずっとべったりしたまま離れてくれない。

部屋は暖房もついていなくて、寒いのにベッドの上でわたしを後ろから抱きしめたまま。


「いと、寒いの?」

「う、うん……少しだけ」


「へぇ……じゃあ、熱くなるようなことする?」

「へ……っ?」


「もちろん……身体がね」


くすりと笑った声が耳元で聞こえたのは一瞬。

身体がふわっと浮いて、自分がどこを向いているのかわからなくなったのも一瞬。


ドサっと倒れて、ようやく視点が安定したと思ったら見えるのは真っ白な天井。

そしてすぐさま、両サイドに世唯くんの手がつかれた。