あなどれないね、世唯くん。




「じゃあ、これに乗ってくれる?糸羽ちゃん」

今のわたしには従う以外の選択はない。
言われた通り車に乗った。


そしてそのあとに男の人たち2人と、前の助手席に加奈ちゃんが乗って車が走り出した。


この状況はいったいどういうことなの……?
明らかにわかるのは、わたしはおそらく連れ去られている状況……。

加奈ちゃんが何か企んでいるのはたしか。


「なぁ、加奈。
この子連れてどーすんの?」

わたしの隣に座る、明るめの金髪にシルバーピアスをした男の人が話しかける。


「んー?別にどうもしないよ?
ただ、少しだけ話がしたいだけ」


話をするだけなら、こんなおびえるような状況を作るわけないから、何か他に企みがあるとしか思えない。


そして車で揺られること1時間弱。

車がどこかに駐車されて、停止した。


「はい、じゃあ糸羽ちゃん降りて?」

大きな音を立てて、車のドアが横にスライドした。