「わ、わたし……リビングのソファ借りるから……」
「……それはダメ」
「なんで……?」
「俺が糸羽と一緒に寝たいから」
もう……。
本当に、本当に、世唯くんは何を考えているの?
加奈ちゃんが忘れられないくせに……。
きっと、あのあと2人の間で何があったかは知らないけれど、繋がりを持つようになったということは少なからず今でも接点はあるはず。
だったら、わたしなんかに構う必要もないし、触れることなんかないはずなのに。
「……いと」
そんな甘い声で名前を呼ぶなんて
ずるすぎる……。
きっと、わたしのことなんてもうなんとも思っていないくせに。
ううん、きっと出会った頃から今まで、世唯くんの中にいるわたしの存在なんて、とてもちっぽけで。
世唯くんの胸の中にずっといるであろう━━━━加奈ちゃんの存在のほうが遥かに大きくて。

