あなどれないね、世唯くん。




話を聞いてみると、世唯くんの家からいちばん近いコンビニが駅の裏にある、わたしが見かけたコンビニだったみたいで。


柄が悪い人が多いので普段はあまり立ち寄らないらしいんだけど、今回はすぐに用事を済ませたかったからたまたま立ち寄ったらしい。


それで偶然わたしを見かけたらしく、走って逃げた姿を見て追いかけて、助けてくれたらしい。


「あ、の……助けてくれてありがとう」

世唯くんがもしあの場にいなかったら、確実に捕まっていただろうから。


「……そんなお礼じゃ足りないって言ったら?」

「へ……?」

いったい何を要求されるのかと思えば。


抱きしめる力を緩めて、ゆっくりわたしに目線を合わせてくる。

こんなふうに2人っきりで見つめられるのが久しぶりすぎて、思わず下を向く。


でも、そんなの世唯くんの手によって、簡単に顔を上げられてしまう。