「ちっ!!おいっ、逃げんじゃねーよ!」

さっきまでの口調とは打って変わって、荒く吐き捨てられた言葉を聞いて足が震える。

震えをなんとか抑えながら走るけど、うまく足に力が入らなくて転んでしまいそうになる。


2人組はもちろんわたしを追ってくる。

道が入り組んでいるおかげで、なんとか逃げることはできるけど、正直自分が今どこにいるのかさっきよりもわからなくなってしまった。


建物と建物のわずかな隙間に入って、なんとか息を整える。


そんなに遠くに逃げられたわけじゃないから、見つかるのも時間の問題かもしれないし、

どうやって人通りが多い駅まで行けばいいんだろうって必死に考えるけど、頭が回らないし足がガクガク震えて息も整わない。


もう……なんでこんな目に遭わなきゃいけないの……っ。

最近ついてないことばかりだ……。

泣きたくなる……というか、もう瞳に涙がたまって視界がゆらゆら揺れてる。


自分の指でグッと涙を拭ったとき、

ふと、背後に誰かの気配を感じ、

そのまま口元を手で覆われた。