「いやー、それは考えすぎじゃない？」
「でも…名前一緒だし。加奈ちゃんもこの学校に知り合いいるって言ってたし」
「もしかして千景の元カノとか？」
「わかんない……」
とにかく何もわからない状態だからこそ怖い。
「もし元カノで、その子が千景の忘れられない人だったら糸羽ピンチじゃん」
「ピンチどころじゃないよ…絶望だよ」
「そうなってくると、もう藍野に乗り換えるしかないじゃん」
ほんと、最近の寿々は真尋くん推しが止まらない。
何かと話をするたびに、真尋くんにしたほうがいいって言ってきてる気がする。
「だから…そもそも真尋くんがわたしのこと好きかどうかなんてわかんないじゃん」
「いや、ほぼ高確率で好きだと思うけどね。糸羽は千景以外のことは鈍感だからなぁ。ってか、千景しか見えてないもんね」
寿々とこんな会話をしていたら、あっという間に文化祭が始まってしまった。
