これが押し倒されてるって気づくのに、そんなに時間はかからなかった。
世唯くんが両手をソファについて、覆いかぶさってきた。
「……糸羽のぜんぶ、俺のものにしたくなる」
そう言いながら、ネクタイを自らのネクタイをシュルッと緩める。
ここで流されて、すべてをあずけたらぜったい後悔しかしない。
でも、流されたいって思う自分がほんのわずかにいる。
「せ、世唯くん……と、止まって……っ」
ちゃんとまだ自分の理性は正常だと思う。
きちんとここで止まってと伝えられたから。
「無理なこと言うね。
さっき言ったよ、止まんなくても知らないって」
なんて言いながら、さっきみたいにキスをしてくる。
慣れたキス……。
息なんて乱さずに、キスをしながらわたしの身体に触れてくる器用さ。
これで、世唯くんがわたしを想ってくれていたらどれだけ幸せだろう。

