あなどれないね、世唯くん。




「……ふーん、いろいろ……ね」

すると、世唯くんは口角をクイッと上げて、わたしを上から下まで見てくる。

そして、誘い込むように手招きをしてくる。


けっして、世唯くんのほうからは寄ってきてくれない。だってきっと、世唯くんはわたしが言うことを聞いて自分のもとに来ると確信しているから。


顔に書いてあるもん……。
言葉に出されたわけじゃないけど、「くるよね、いと?」って表情で言われてるみたい。


言いなりばかりなのは嫌だけれど、今はそれ以上に目の前にいる世唯くんに触れたくて…触れてほしくて…。


ゆっくりとソファに座る世唯くんに近づき、あっという間に目の前にきた。

少し目線を落としたら、相変わらず艶っぽい笑みを浮かべたままわたしを見つめる世唯くんがよく見える。


「……久しぶりに、いとで遊ぼうかな」

「っ…、」

そう言いながら、世唯くんの親指がわたしの唇にグッと押しつけられる。