あなどれないね、世唯くん。




中にいたのは━━━━━もちろん、世唯くんで。


この時間帯にここにいるなんて思ってもいなくて驚くわたしとは対照的に、

ここに突然わたしが現れても動じない、いつもの落ち着いた世唯くんがいた。


「あ……、世唯……くん」


名前を呼ばずにはいられなかった。
久しぶりにこんなしっかり顔を見て、2人っきりの空間が出来上がって。


「なーに、いと」


わたしは2人っきりなれて、こうやって顔を合わせて話すことがとても嬉しいのに、

世唯くんは全然いつもどおり、平常運転。


久しぶりなのに……。
変わらない態度で接されて、勝手に傷ついた。


「お、お久しぶり……です」

とりあえず黙ってしまって会話が切れてしまうのが嫌なので適当に思いついたことを口にする。


「……ほんと久しぶりだね。
こんな時間にここに来るとか珍しいね」

「あっ、ちょっといろいろあって」