高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない

西口くんはこんぶのおにぎりの袋を破ると、すぐにかじった。

私も鮭のおにぎりの袋を破ると、口に入れた。

コンビニのおにぎりを食べるのは、本当に久しぶりだ。

「美味しいですね」

話しかけてきた西口くんに、
「そうですね」

私は返事をした。

「本当はもっといろいろと買って花沢さんに差し入れをしたかったんですけど…俺、花沢さんのことをよく知らないなって思って」

「えっ?」

思わず聞き返した私に、
「おにぎりじゃなくてサンドイッチの方がいいかなとか、お茶じゃなくてコーヒーか紅茶の方がいいかなとか、プリンじゃなくてゼリーがいたかなとか…そんなことばかりを考えてました」

西口くんはエヘヘと笑うと、お茶を口に含んだ。