高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない

そのお腹の音は当然のことながら、西口くんにも聞こえた。

「躰もそう言っていることですし」

「…わかった」

西口くんは嬉しそうに笑うと、私の隣のデスクから椅子を引いた。

「何で隣なの?」

「その方がいいじゃないですか」

西口くんはそう言うと、コンビニの袋からおにぎりとお茶とプリンを取り出した。

「おにぎりは鮭とこんぶ、どっちにしますか?」

2つのおにぎりを私に見せて聞いてきた西口くんに、
「西口くんはどっちがいいの?」

私は聞き返した。

「花沢さんに聞いているんです。

先に選んでください」

私が先なんですか。

そう心の中でツッコミを入れると、
「じゃあ、鮭で」
と、答えた。

「はい、どうぞ」

鮭のおにぎりを差し出した西口くんに、
「ありがとうございます」

私はそれを受け取った。