ドアが開いた。

私は急いでドアの方を向く。

Tシャツ姿の平良が髪をタオルで拭きながら部屋に入ってきた。

平常心。
平常心。

「早かったね。」
「うん、ザッと洗っただけだから。」

平良がベッドに腰掛けて頭をタオルで拭く。

どうしよう、さっきの品と重なって見えてしまう。

私が自然に本棚の前から去ろうとした時、肘が卒業アルバムに当たってしまった。

あ・・・と思った時にはもう遅い。

卒業アルバムと例の箱がバタバタと一緒に私の足元に落ちた。

「あっ・・・!」

平良が目を見開いて叫ぶ。

しまった・・・

失敗した・・・

私はその場で固まる。

「そ、それは・・・」

平良がわずかに震える声で話し出す。

「うん・・・」
「男としてのマナーだから買っただけで・・・。」
「あ、うん。そうだよね。」

沈黙。

その場に固まる私たち。

よし、見なかったことにしよう。

私はあたかも気にしてない風を装って拾って元のところに戻した。

平良が手をパンと叩く。

「よし、27日だな。」

え、27って明後日・・・?

「え?私・・・」
「ちげえよ。20日行けなかった映画のリベンジだよ。」

あ、ああ。
忘れてなかったんだ。

「空いてる?」
「うん、空いてる。」

私が言うと、「じゃあ決まり。飯食いに行くぞ。」と言って立ち上がった。

「あ、うん。」

私も1歩平良の方に近づく。