結婚してみませんか?

「そうですね。前は母の前だから名前呼びさせてもらいましたけど、結婚するのに苗字で呼ぶのは変ですね。じゃあこれからは智章さんって呼びます。」

そう言うと、恋ちゃんは少しだけ笑みを浮かべて俺の方を見る。

「ありがとう。あっ、写真持ってくるから待ってて。」

俺はソファーから立ち上がると、自分の部屋に行く。

部屋に入りドアを閉めて1人になると、そのまましゃがみ込み下を向く。

「…ヤベェ。恋ちゃん可愛すぎだし。」

大きなため息をつくと前髪をクシャッと握り心を落ち着ける。

俺は恋ちゃんと結婚するにあたり、不安要素を抱えていた。

俺たちは恋愛から結婚ではなく、同じ結婚観っていうだけで結婚に至った。

じゃあもしこの先、俺か恋ちゃんの結婚観に変化があったらどうなる?

そう、これは俺の事だ。

まさかこんなに早く自分の結婚観に変化が現れるなんて…。

恋ちゃんに対して恋愛感情が生まれた。

…俺は、恋ちゃんが好きだ。

でも恋ちゃんを好きになるのは想定内だった。最初から恋ちゃんには興味はあったし、一緒にいれば絶対好きになるだろうという思いはあった。だから結婚しようと思ったわけだし。

想定外だったのは、恋ちゃんを好きになって結婚観に変化が起きた事。

今まで好きな人が出来ても俺の結婚観に変化はなかった。自分の時間を大切にしたいし、あまり深く関わりたくない。だから今回も俺が変わる事はないだろうと思った。

でも恋ちゃんに恋愛感情を(いだ)き、恋ちゃんとの距離をなくしたい、そばにいたい…そんな事を思うようになってしまった。

恋ちゃんは人と深く関わる事を嫌うのに…。