「本当、なんだ?」


逃げられないと思い、頷く。


「どうして隠してたの?」
「……由実さんたちとは、金持ちの娘としてではなく、小野寺円香として関わりたかったのです。由実さんたちが普通に接してくれていたから、いつも癒されていました」


二年前、たったそれだけのことにどれだけ癒されたことだろう。
二人がいなかったら、私は自殺でもしたのではないだろうか。


「……そっか。でも、あの人は円香ちゃんのこと、知ってたってこと?ほらあの人、ずっとお嬢様って呼んでたから……」


由実さんの言うあの人は、忘れようとしたけれど、忘れられない人。


「あの人って、笠木玲生?」


後ろで急に声がし、振り向くと、瑞希さんが立っていた。
お昼休憩で抜け出してきたのか、制服を着ている。


「瑞希さん、お久しぶりです」
「久しぶり」


瑞希さんはそのまま私の隣に座る。


「瑞希、その格好でラーメンって大丈夫なの?」
「だよね。着替えて来ればよかったなって思ってる」


瑞希さんは唐揚げとチャーハンと、ラーメン以外のものを頼んだ。
そして、私は豚骨ラーメン、由実さんは塩ラーメンを注文した。


「それで、瑞希さん。お話したことというのはなんでしょう?」