「ただいまぁ」

「あら?お帰り。今日は思ったより早かったのねぇ。」

「うん、お水やるの忘れたの」

「あんたもそんなとこだけは几帳面だねぇ。お父さんそっくりだよ。」

「うん、だって毎日やっている事が欠けると、気持ち悪いんだもん。」

母はほんの少しだけビックリして、すぐに微笑んだ。

「言う事もお父さんに似てるわ」


裕子はお父さん似と言われるのが嫌ではなかった。


どちらかと言うと照れくさい嬉しさがあった。


裕子が小学校に上がる前に父は他界しており、朧げな記憶とはっきりした想い出が共存していた。

しかし確実に言える事は、裕子は父が大好きだった事、これは、はっきりした想い出として覚えている。