もう4月だというのに白

い息がその日の朝の冷え

込みをものがたっていた。


カーテンを開けると我も

我もと飛び込んでくる陽

射しにまだ目覚め切らな

い裕子の眼は、一瞬閉じ

るも片目だけは徐々にし

っかりと覚めてきた。


部屋の中の気温が一気に

上がる気がした。でも、

無意識に肩は窄んで両手

は脇に挟んでいる。いっ

ぱいの陽射しを取り込ん

だ時、窓際のサボテンが

小さい光を発したように

見えた。


「あれ?あっ咲いてる」

それは、混じりけのない

真っ白な小さな花。


「きれ〜い」


『ほぉまたいい事あったぁ』