「貸せっ、俺がやる」

「はぁ!?何言ってんの?やめて!」

無理やり書類を私の手から取り上げて
自分の机に置いて椅子に腰をおろした

この男はいつも私に突っかかって来ては
私の敷地に勝手に入ってくる

その日の夜、唯一私の事を理解してくれる
大学からの親友、船瀬(ふなせ)
次の日が休みということもあり1ヶ月ぶりに
2人で呑む事になっていた

会社近くのお気に入りの居酒屋
愚痴りまくろうと楽しみにしていた
今日の飲み会

お店は満席で仕方ないのかもしれないが
出来れば満席で入れないってなった方が
よっぽど良かった

カウンター席に船瀬の左に腰をおろして
お酒を頼んで乾杯っと一口喉を通らせると
嬉しくて勝手に顔がほころぶ

「顔がニヤけててブスすぎ」

私の左の席から聞いた事のある男性の声
相沢だ。
一瞬にして顔が青ざめた

「なんでいるのよ明日出勤でしょ!?」

「仕事だろーが休みだろーが関係ない酒は呑みたい時に呑むもんだろ」