「でも、本当に僕が考えたことがまるっきり外れる可能性もありますけどね。現実はそんなに単純ではない場合もありますから」
とは言うものの、奏音の顔からはそれを期待しているようには見えない。
「そうですね。それより、なんかお腹空きません?」
と、美鈴は、レジの隣のショーケースに飾ってあるケーキをチラ見しながら奏音に言った。
「ははっ。食べましょうか。甘いものでも食べて、ちょっとリラックスしましょう」
「はい、そうしましょう」
奏音は、「僕が買ってきますよ」と言うと、美鈴をその場に残して行ってしまう。
美鈴は、飲み干してしまったアイスコーヒーのグラスの中に入っている氷を眺めると、それは溶けてからんと音を立てて動く。
先程の奏音との会話を思い出していると、まるで奏音が探偵のようだなと思い、1人笑ってしまう。
そういえばと思い、白金南をスマホで検索してみると「あ、この子……」と大学時代にその顔を大学内で見た事があることを思い出した。
その顔を数秒見て、その画像をそっと閉じるのだった。
「お待たせしました」
「ありがとうございます」
「アイスコーヒーもどうぞ。ケーキに水は寂しいでしょう」
「そんなっ。お金」
「いえいえ、わざわざ今日は来てもらったんですから。これくらい」
そんな奏音を見ると美鈴は、少々子供っぽいところのある桜には、大人な奏音のほうがいいかしらと思うも、そぐにそんな考えを消した。



