「その中にヴァイオリニストの白金南がいたんです」
「ああ、聞いたことあります」
「ここで1つ、私の親戚のピアニストについて話してもいいですか?」
「もちろん」
一旦、奏音はアイスコーヒーではなくその横に置いてある水を飲んで乾いた喉を潤すと、話の続きを始めた。
「私の遠い親戚なんですが、成宮ルイというピアニストがいるんです。とは言うものの、今は表舞台でピアノを弾いてはいないんですが」
「成宮ルイ……聞いたことがあるような……」
「美鈴さんがコンクールに出たりしていたら、もしかしたらそこで聞いたことがあるかもしれません。その成宮ルイなんですが、高倉尚と同じコンクールに出たとき、その優勝がどちらも高倉尚でした。ルイは、それまで神童と言われて、負けを知らなかったというか。それからです、表舞台からいなくなったのは」
「それは…………」
美鈴は、何と言ったらよいか分からずにそれ以上話すことをしなかった。
「それで、僕、ちょっと気になって彼のことを調べてみたんです。そうしたら、僕の親戚が、彼の姿を最近見たと。しかも、白金南と一緒に歩いていたと言うんです」
美鈴は、再びアイスコーヒーを飲んで、これまでの奏音の話を脳内で整理する。
アイスコーヒーの入ったコップを再び置くと、奏音も自分のそれを一口飲んで再び話を始めた。



