2時間後観終わった桜は、壁に掛けてある時計を一点に見ていて動かない。
何かを考えているのだろう、ようやく口を開くと、奏音にこの映画の感想を求めた。
「奏音さんは今の映画どう思いますか?」
「うーん、そうですね」
2人が観たそれは、恋人のために復讐をしようとする男性の物語で、最終的には恋人のお陰でその復讐をすることなく平穏に2人が生きていくというものだ。
「きっと、主人公にとっては彼女という存在がこの世の中でそれ以上にないくらい愛おしい存在だったということははっきりと言うことが出来ますね」
「そうですね」
まだ桜は、時計をじっと見て考えている。
「僕は、それほどに人を愛することができる主人公を羨ましいと思いましたよ。…………ただ、復讐をするかどうかはあれですけどね」
奏音も、考えながら話をしているせいで、その言葉と言葉の間には時間がある。
「奏音さんなら、あの映画の主人公みたいに、自分を犠牲にして恋人の復讐をすることを選びますか?」
「それは、難しい質問ですね……」
2人の間には、沈黙が流れる。
その問いは哲学のようで、もちろんそれに答えなどのないことは、質問をした桜にも、質問を投げかけられた奏音にもよく分かっていた。
それでも、桜は考えてしまい、奏音も何かの答えを出そうと必死に考える。



