音楽のほとりで


「いやー、流石怖かったですね」

「はい、もうドキドキでした」

まだ、不気味な音楽がテレビからは聞こえてきており、製作者たちの名前が画面に次々と映ってはいるものの、桜はほっとした表情を浮かべていた。

その手はまだ繋がれていてる。

「日本のホラー映画は、真から怖いというか。外国のものって驚かせるシーンが多いですけど、日本はこう、内面から来ますよね」

奏音は、まるで映画評論家のように話している。

「分かります。なんか、すごくねっとりしているんですよね、日本のホラーって。人の怨念がしっかりと表現されているというか」

「日本人そのものって感じですね」

奏音は、ようやくその手を離すと、テーブルの上に置いてあるポップコーンを一つ食べた。

「でも、その……奏音さんが手を握ってくれた後からは、ちょっとだけ怖さが無くなりました」

桜は、さっきまで繋がれていたその手を見つめながら、ささやくようにそう言った。

「……よかったです」

それに対して、奏音も聞こえるか聞こえないかの大きさで桜にその言葉を伝えた。

「もう一本観ますか?」

「そうですね、せっかくののんびりした休日ですし、もう一本観ちゃいましょう。私最近忙しくて、こんな風な休日過ごすの久しぶりです。いいですね、ゆっくりすごすのって。なんだか大人になって忘れていた感覚です」

「そうですね。大事ですよね、ゆったりするのは」

「ええ」

会話が終わると、2人はまた並べられてあるものの中から1つ選ぶと、それを見始めた。