帰りの飛行機の中では、疲れていたのだろう、2人は深い眠りに着くと次に目が覚めたときには既に数時間が経っていてそろそろ日本に着く頃であった。
2人は目を覚ましたあと、深呼吸をする。
そして、奏音は桜の方を向いて
「桜さん、今度は音楽仲間として会いましょう」
と言った。
「はい、ぜひ」
それだけの会話をして、2人はその後離陸するその時まで特に話すことなく、互いの思うままに空の旅を楽しんだ。
「じゃあ、ゆっくり休んで」
空港から出ると、奏音はタクシーに桜を乗せ、握手を求める。
「お元気で」
桜はそれに快く応えた。
「奏音さんも」
その握手は、ふわっと桜の手を包むもので、最後まで奏音の優しさは溢れている。
手が離れてタクシーの扉が閉まると、タクシーは発車してどんどんと桜と奏音の距離は離れていった。
ふと窓から外を見ると、その景色はフランスに行く前と全く変わっていなかった。
そのことに、桜は当たり前だよねと思い1人車中で笑うのだった。



