奏音と桜は、帰りの飛行機の中にいた。
「奏音さん、その……この前挨拶したばかりなのに」
「ああ、いいんですよ。実は白金南やルイのことを調べていた時、父にも協力してもらっていたんです。帰ったら、ルイのことを報告するついでに僕たちのことも話しますから。うちの両親は軽いところがあるので、きっと大丈夫です。それにきっと桜さんが尚さんの恋人、しかも結婚するって聞いたらきっと僕たちのことなんて忘れるほどに驚くと思います」
昨日は帰国する準備などをしていて、ゆっくり話す機会がなかったため、桜はようやく落ち着いた時間が取れた今、奏音に謝りたいと思っていたことを話す。
「調べてたんですか?」
桜は今更知る事実に、目を丸くしている。
「なんだか気になってしまって。研究職の悪い癖ですね。でも、おかげでルイとも再会することが出来たので、僕としてはとてもいいフランス旅行でしたよ。それに、初めからなんとなく感じてました。桜さんと尚さんの間には強い絆みたいなものがあるなあと。数か月ですけど、ありがとうございます」
「いえ、私こそありがとうございます。でも、ルイさん元気そうで良かったですね。ルイさんのピアノ、生で聴きたいです」
「そうですね。きっといつか弾いてくれますよ彼なら」
桜は隣でうんうんと首を縦に振ると、緊張が解けたのだろうか、キャビンアテンダントにオレンジジュースを1つ持ってきてもらうように頼んだ。



