「いやあ、やっぱり何度見てもいいですねえ」
賑わうシャンゼリゼ通りを通って、凱旋門まで辿り着く。
それは威厳を放っていて、このパリの街に存在している。
色々な人が、それにカメラを向けて写真にその姿を収めている。
桜も、スマホでそれを撮っている。
なかなか全体を移すことが難しく、画面を見ながら後ずさりしていると人にぶつかりそうになるものの、奏音がそっと桜の腕を掴んでそれを阻止してくれた。
「ありがとうございます」
「いえいえ」
奏音は、フランス人男性に劣らず紳士である。
桜は、ふとした時こそその優しさを感じていた。
「明日、せっかくなので高倉尚に会いに行きましょうか。彼に時間があるかどうか分かりませんが」
いきなり奏音からその名前が声に出され、桜は戸惑う。
しかし彼の顔に迷いはなく、桜にはそれに反論する余地がなかった。
奏音が言うならとそれに応じる。
「さて、少し休憩でもしましょうか」
と、奏音は来た道の方を指さしている。
再びシャンゼリゼ通りに来ると、たくさんのカフェで話をしている人の姿が目に入ってきた。



