音楽のほとりで


2人は、話をしたり食事をしたり映画を観たり寝たりして思い思いに過ごす。

桜は、大好きなワインを何杯も飲んで、この機内の旅を存分に味わう。

そうするとあっという間に時は過ぎてしまった。

何度も見たフランスの土地が、桜の目に入って来て彼女は姿勢を正すとふうっと息を一つ吐いた。







「着きましたね」

パリの空港にいる桜と奏音は、自分の元に戻ってきた大きな荷物を持ちパリの街へ向かおうとしている。

時刻はちょうど夕方頃で、暗くもなくちょうどいい時間帯だった。

「とりあえずホテルに行きましょうか。荷物も重いですし」

「そうですね」

飛行機に乗ったと思ったら次は電車に乗り、半日の90%を何かに乗って過ごしている。

桜はホテルに着いたら思いっきり身体を伸そうと密かに思うのだった。






「はーっ」

と、ホテルの部屋に着くなり、心に決めていた通りに桜は思いっきり身体を伸ばすと、ぽきぽきと身体のあちこちから音が聞こえてくる。

「やっと解放されたって感じですね」

と言い、奏音も同じように腕を伸ばして身体を右や左、前や後ろに動かしていた。

その動きを見ると、意外と体が柔らかいことが分かった。

「この後どうしましょうか?」

「そうですね……とりあえず散歩、したいです」

「確かに、外、歩きたいですね」

今まで閉じ込められていた桜は、今度は外の空気に触れていたいと思っていた。