満腹になった2人は店を出ると、川沿いのベンチで休むことにした。

「お腹もいっぱいになって、眠くなっちゃいますね」

「うん、気温もちょうどいいしなにより長閑だ」

このまま、うとうとと青空の下で2人は眠ってしまいそうである。

尚の目は、半分しか開いていない。

「バカンスにちょうどいいかんじですね、ボルドー」

「分かるよ、その気持ち」

2人はその後、とくに話をせずに暫くの間この土地の空気を味わっていた。










「よし、そろそろ行動しますか」

先ほどまで半目だった尚の目は今は全開で、先にベンチから立ち上がった。

「そうですね」

続いて、南も立ち上がる。

「そういえば南さん、ワイン欲しいって言ってたよね? 適当に歩いてお店探そっか」

「はい、そうしましょ」
 
ちょうど休日のこの日は、人も多く割と狭い道も人が多くいて、テラスではコーヒーやビールを飲んでいる人が楽しそうに会話をしている。

すると、目の前にワインと書かれた看板が目に入ってくる。

「ここ、入ってみる?」

「はいっ」

その横には石鹸の専門店らしきものもあり、南の希望でワインを見た後にはそちらの店にも行くことにした。

年季の入った建物の中に入ると、当たり前だがずらりと赤や白やロゼなど多くのワインが並んでいる。

「私、自分の生まれた年のワインが欲しいんですよね」

「ああ、いいね。僕も憧れるよ」

「ええと……」

と、南は店内を歩き回り、誕生年のワインを探しているようだ。