「というわけ……。また負けちゃった。」 
「はあ〜?結局萌の勘違いで,ドキドキさせられるだけだったの!?」
「はいはい,なっつんは1回落ち着こうね。でも見てみたかったなあ,大人っぽい萌ちん。写真とか無いの?」
「あっ1枚だけあるよ。ケン兄と記念に撮ったの。」
私はカバンから携帯を取り出した。
「はい,コレ。」
「こっこれは…………」
「すっごく……個性的だね。」
写真を見せると,二人とも黙ってしまった。
どこかおかしかったのだろうか?
「どこか変?」
「うっううん,ぜんぜ……」
「おかしいわよ!明らかにサイズの大きいTシャツに,ダメージ多すぎるジーパン。それに,何なの?この靴!茶色のヒールが高すぎるハイヒールって!こんな服,ホントにあの店に売ってたの!?」
歌南の言葉を遮って菜摘が言う。
歌南も今まで見せたことのない,ぎこちない笑い方で言う。
「これは……,ケン兄さんもビックリしちゃうね………。」
「ていうかこれでアンタをナンパした男,スゴイわね。」 
菜摘のストレートな言葉は慣れているが,歌南の遠慮がちな言い方が少し胸に刺さる……。
「でも確かに…。どうしてあの男の人,私なんかを?」
「『なんか』じゃなくて『だから』だよ。」
「えっ!?」
萌の背後から声がした。
「どうも〜!萌ちゃん,久しぶり〜。それと,菜摘ちゃん,歌南ちゃん,はじめまして!」
「あなた,この間の…………ナンパ男さん!?」
どっどうして〜〜〜!?