今日は日曜日,ケン兄との約束の日だ。私は張り切りすぎて約束の1時間前に来てしまった。
「流石に早すぎたかな。ケン兄まだ来てないよね。それにしてもヒールってて疲れるなあ。菜摘はすごいな。こんな高いヒールをいつも履いてるなんて。」

私がそんな事を言っていると,こちらに向かってくる人影が見えた。 
「あっケン兄…………じゃない!」
「えっケン兄って何wwwwwwwwwてか君可愛いね。一人?このあとヒマ?」
「えっいやその待ち合わせしてるので…………。」
どうしよう,これってナンパ?ケン兄はまだ来るわけないし…………。
「え〜でも来ないじゃん。君みたいに可愛い子待たせるような友達より,俺と一緒にどっかいこうよ〜」
「いえ本当に迷惑なので……」 
「やめてくれる?」
私の言葉を聞き覚えのある声が遮った。
「ケン兄!」
「この子,俺と約束があるから。」
「なんだ,彼氏持ちか〜。まあそいつと別れたら,いつでも俺話聞くよ〜」
そう言って私をナンパした男は去っていった。

「お待たせ,萌。ゴメンね,遅くなって。」
「ううん!さっきはありがとう!でもケン兄どうしてこんな早く?」
「あー,萌と出かけるのが楽しみで早く着いちゃった。」
「えっ!?」
「どうしたの?」
「うっううん,何でもないよ!それより私,新しくできたスイーツ屋さん行きたいな!」
危なかった…。さすがケン兄,いきなり天然発言ぶっ込んでくるなんて…。

「スイーツ食べ放題のところ?食べすぎないようにね。」
「もう!ケン兄,美味しいものを食べるときにカロリーとか気にしちゃだめだよ!」
「アハハ。やっぱり萌といると楽しいね。」
「けっケン兄!そういうこと簡単に言わないの!勘違いしちゃう人もいるんだからね!」
「勘違い?」
「だから…その,ケン兄がそういう思わせぶりなこと言うと,ケン兄が自分のこと好きなんだーって思っちゃう人も出てきちゃうかもでしょ。」
「その時は萌が守ってくれるでしょ。なんたって空手黒帯だしね!さっきの男にももうちょっとでお見舞いしてたんじゃない?萌の飛び蹴り。」
ケン兄は笑いながら言う。
私の事信用してくれてるんだ……。さっき私がキレかけてたことも気づいてるし,天然だと思ったら周りをよく見てたり…………。そういうところ,私やっぱり好きだなあ。