「私,佐倉萌は彩星高校1年生。家族構成は、父,母,姉。7月30日生まれの獅子座。そんなどこにでもいる女子高生の私には目標がある!
それは,私の想い人で年上の幼馴染である瀬名健人,通称ケン兄をドキドキさせることだ。
ケン兄は昔から鈍感で私の気持ちに気付くこともなく片思いのまま,私は高校生,ケン兄は大学生になってしまった。
そしてこのままではいけないと思い,毎日アプローチすることにしてみたものの…………,逆に私がケン兄の天然発言にドキドキさせられてばかりなのだ……。」
「なるほど〜ってなるわけないでしょうが!普通に告白すればいいじゃない!」
彼女は私のもう一人の幼馴染で,親友の蒼井菜摘だ。時に毒舌だが私の良き相談相手だと思っている。
「それに何なのよ,その口調。萌って小説家でも目指してるの!?普通に喋りなさい!」
「はーい…………。菜摘怖〜い」
「まぁまぁ,なっつんそんなに怒らないで〜。萌ちんも告白するのが恥ずかしいんだよ〜。ね,萌ちん?」
「歌南はすごいな〜なんで私の考えが分かっちゃうの〜?」
この子は,岬歌南。高校に入ってから知り合った。歌南もケン兄に負けず劣らず天然だけれど,とても面倒見も良く今では親友だ。今のように,しっかり者の菜摘と考えるより先に動いてしまう私の間に入ってくれる,いい子だ。人におかしなあだ名をつけること以外は……。

「そうね…………。私も少し気持ちが高ぶってしまったわ。さすがね,歌南。」
「それほどでも〜」
菜摘は,真面目すぎるほど真面目な性格だ。由緒ある名家の一人娘だということもあり,礼儀作法には特にうるさい。彼女のそんな性格をうざいと感じる人もいる。けれど,私は彼女のそんなところが好きなのだ。美人で成績優秀,スポーツ万能とくると私もたまに天は何物与えるのだ!とは思うが……。
「それで,また‘’ケン兄‘’に負けちゃったの〜?」
歌南が身を乗り出して聞いてくる。
「うん…………。」
「全く……。だらしないわね。」
「でもでも!今回は絶対イケると思ったんだよ〜」
「その絶対イケる作戦でどんな風に負けたの〜?」
歌南が笑顔で聞いてくる。こういうところ,ドSだなあ。
「えっと今回は……」