ふと時計を見ると。



「あ、もうこんな時間。登坂さん、すみません。私、そろそろ、仕事に戻らないと」



「あ、そうか、仕事中だったのに。俺の方こそ、すみません」



「全然、私が引き留めたんだし」



夏月が外へ見送りにでると、従業員達もソワソワと入口からのぞいていた。



吉則が運んで来たバイクに、登坂が颯爽と跨がる。



「やっぱ、いい男が乗ると違うな」



吉則が感心する。



「ヘルメット被れば、よっちゃんもいい男に見えるよ」



「全然、褒められた気がしねー」



吉則が呆れると、夏月と登坂が顔を見合わせて笑う。
 


「夏月さん、吉則さん、本当にありがとうございました」



登坂が頭を下げる。



「よかったら、また、遊びに来て下さい」



夏月は、笑顔でそう声を掛ける。



「絶対、また来ます」



景色や料理、夏月や吉則の人柄の良さや笑顔に魅了された登坂だった。