その日の午後、リハーサルの合間。


「臣〜」


「何?」


隆二が、ニヤニヤしながら話しかけて来た。


「なっちゃんは?」


「得意先に挨拶回りしてから、帰るって言ってた」


「おぉ、社長、仕事してるね」


「そ、下手したら、俺より働いてるかも」


「へぇ、敏腕なわけね。ね、ところでどこに惚れちゃったの?」


「あぁ、それは運命だって、運命」


「ほぉ、どんな運命か、じっくり聞かせてもらおうか」


「まぁ、話せば長くなるって」


近くにいた健二郎が二人の会話に入り込んで来た。


「なになに、なんの話や、二人でコソコソと。俺にもきかせてや」


臣「コソコソなんかしてないって」


健「コソコソやないならなぁ、おっ、皆んな臣がなんか話あるみたいやで」


と健二郎の一声でメンバーが集まってきた。


臣「イヤ、ちょっとこの場所は、まずいっしょ」


健「やっぱ、コソコソやないかい」


臣「違う違う、メンバーには言えるけど、今言う話じゃないっていうか」


リーダーのNAOTOが割ってはいる。


人「じゃあ、リハ終わりで飯でも行いく?全員で行くのも久しぶりじゃない?」


己「2ヶ月ぶり」


直己は腕を組んだまま、真面目な顔で発言する。


人「計算早いね」


臣「じゃあ、この話は夜までお預けってことで」


エ「おぉ、お預けとか言われたら、スゲー気になる」


健「こんだけ焦らしといて、ショボい話やったら承知せんでぇ」


健二郎は笑いながら、そう言った。