「はぁ、疲れたぁ」


部屋に戻ると、夏月はベットに倒れ込む。


目を閉じると、今日一日の出来事がグルグルと頭の中をめぐる。


「夢みたい…。でも、夢じゃないんだよね」


香水の匂いがほんのり残っている手首を鼻に近づける。


「ふふっ、臣君の言う通りだ」


登坂の言ったことを思い出し、一人で笑った。


「臣君の匂い」


登坂の"運命かと思った"という言葉につられてOKしてしまったが、この先一体どうなることやら。


だが今はもう深く考える気力もなかった。


「…お風呂入らなきゃ…。明日何時かな…」


そう呟きながら、夢の続きを見るかのように眠りについてしまった。