佐倉さんと逢川くん

「あの！」
私が驚いていると，男子が話しかけてきた。
「はっはい，なんでしょう！」
しまった！演技するの忘れた！
しかし男子は全て見透かすように笑った。男子はこちらに一歩踏み出した。
やばい，殴られる！
「俺，先輩の事が好きです。」
「え？」
この人，今なんて言った？
「付き合ってください。」
はああああぁぁぁぁ！？

そこからの事はよく覚えていない。隠れて見ていたという，茉優に話を聞くと，あの後私は驚きのあまり，気絶。それには皆驚いたらしく，あの男子が私を家まで送りとどけてくれたらしい。
発言の意図は分からないが，私を呼び出したのは私を殴る為ではないようだし，家まで送りとどけてもらったとなれば，流石に礼をするべきだ。
そう，茉優に言われ，私はあの男子のクラスに訪れていた。
あの男子…………じゃなくて，逢川廉だっけ。どうやら逢川君は，１年生だったらしい。そして，1年生の中でもかなりモテるそうであの女子たちは，どうやら逢川君のファン集団のようだ。
うちの妹も同じ高校の１年生だが，私と同じように噂にはうといらしく，逢川君には全く興味が無いと言っていた。