そして校舎裏に着くと，一人の男子が立っていた。いや正確にいうと，校舎裏に立っていたのは
男子一人だが，校舎の窓から大勢の女子達が身を乗り出して，こちらを見ていた。私のことを，痛くなるほどの視線で。
どっどうしよう……。きっとあの女子達は，私があの男子に殴られるのを見に来たんだ！
どうにか平和的に解決できないかな…。きっと話したら分かってくれ…………るわけないよね！だってこんなギャラリー引き連れて，果たし状出すような人だし…………。
えーいこうなったら，もうさっさと済ませよう！
ここは怯える表情を見せないようにして……。
「あの，話があるなら早くしてもらえないでしょうか？私も暇ではないのですけれど。」
私があえて冷たい表情と声で言うと，女子達の視線がより冷たくなった。
ごめんなさい！ごめんなさい！私も好きでこう言ってるわけじゃなくて…。
「『ドＳ探偵速水マイ』…………。」
「えっ！？」
初めて私を呼び出した男子が喋った。っていうか
「ドＳ探偵速水マイ」って…………。