私以外の三人の魔法使いさんは、どうやら簡単には説得出来ないらしい。孤立している、と言うものだからそれも当たり前だろう。





そのうちの一人が、炎の使い手のピュールさん。





彼は料理好きな明るく前向きな性格で、この森のもっと奥にある小さな料理屋で、料理を作っているらしい。
歳は30代前半ほどで、ここには百数年前に飛ばされて来たのだとか。

最初は火の使い手として、街に現れる化け物と戦ってくれていたらしい。
けれどある日、突然心を閉ざし、魔法を使って戦うことをやめてしまった。それからはずっと、この森の奥でひっそりと住んでいるのだとか。


でもクラルさん曰く、性格は相変わらず明るく、ガツガツしたままだと言っていた。
多分…きっとピュールさんは、他の人の相談に乗るといい言葉をくれるんだけど、自分のことになると物凄く悩んじゃうタイプの人だ。

食べることは好きだから、いつか料理を食べてみたいし、仲良くはなれそう。


どうやって説得するかはさておき、私はまずピュールさんを仲間にすることを決めた。
そっと外を見てみると、クラルさんの言う通り夜が来ていて。

真っ黒な空に散りばめられた星は物凄く綺麗で、思わず声を漏らす。




「 ふぁ…。 」




そうこうしていると、自然と大きな欠伸が出た。

明日はクラルさんが迎えに来てくれるって言ってたし、寝ちゃってもいいよね。
私はそんなことを呑気に考えながら目を閉じて、そのまま眠りについた。