――少し時を戻して。

 ノーヴァでカノン達と別れたラグとアルディートは……。


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「お前さ、とりあえず一度飛んで小さくなれよ」

 セリーンとカノンちゃんにしばしの別れを告げノーヴァを出た俺達。
 肩をぐるぐる回しながら振り向くとラグが目を見開いていた。
 何をそんなに驚いてんだ?

「一度は普通に使えんだろ?」
「……」

 余程術を使いたくないのか、いや、小さくなっちまうのが嫌なのか、顔を引きつらせてラグは俺から視線を外してしまった。
 頭の上に乗っかったブゥがそんな相棒を心配そうに覗き見ている。

 俺はふぅと息を吐き続けた。

「じゃあ何か? お前ストレッタまでずっと俺に抱えられていくつもりだったのか」
「…………」

 途端、ラグの顔が心底嫌そうに歪んだ。……失礼な奴だな。

「あのなー、俺だってケガ人ならともかく大の男抱えて飛びたくないわけ。どう考えたって小さくなった方が俺の負担が減るだろーよ」
「……わかった。ただし、小さくなっても絶対にガキ扱いするなよ」

 念を押す様に睨まれ俺は今朝のことを思い出した。
 あー……、つい懐かしくて少しはしゃぎ過ぎちまったか。

「わーったって! んじゃ、早速行きますか」
「あぁ。ブゥ、お前は一応ここ入っとけ」
「ぶ」

 俺達は冷たい夜風を全身で感じ取る。

「すまない。少し力を貸してくれ」
「わりぃ。少し力借りるぜ」

『風を、此処に!!』

 ――そして、俺達は風に乗り空へと飛び上がった。