アルさんが盛大にショックを受けた振りをするのを見て私は苦笑する。すると彼はそんな私を縋るような目で見てきた。

「カノンちゃーん、カノンちゃんはそんな酷いこと言わないよなぁ? 俺がいた方が絶対楽しいよな~?」
「え、えっと」
「カノン、余計なこと言うんじゃねーぞ!」
「そうだぞカノン。そんなヘタレメガネに一切の同情は不要だ」

 珍しく息の合っている二人に私はただただ苦笑を続けることしかできなかった。

「あれー!? なんかさっきよりも名前酷くなってないかセリーン! 俺はヘタレじゃないぞ! タレ目なのは認めるけどヘタレじゃなーーい!」

 アルさんの嘆きが早朝の冷たい空気を震わせた。


 ――昇ったばかりの朝日が、私たちを明るく照らしていた。




 第三部 了