そして気付いてしまった。昼間と違い、ここにはセリーンもアルさんもいない。ブゥも部屋にいないところを見ると二人について行ったか夜のお散歩中だろう。
この状況で二人きりだということに今更緊張を覚える。
――ひょっとして、まだフィエールの前で歌ったことを怒っているのだろうか。
(だとしたら、今朝のお説教の続きとか……?)
あの時はアルさんが止めに入ってくれたけれど、今は誰もいない。それにあの時と違い今彼は本来の姿で、怒鳴り声には十分な迫力がある。
逃げ出したい気分になっていると、そこですっと視線を向けられ思わず身構える。
「今回のことでランフォルセの奴らがお前を手に入れたがってるってことがわかった」
「う、うん」
「だから、これからは出来る限りお前から離れないようにする。お前もまた同じ目に遭いたくなけりゃ、余計なことに首つっこんだりしねぇで、オレから離れるな。わかったな」
(……あれ?)
てっきり怒られるとばかり思っていた私はなんだか拍子抜けし、その後で言葉の意味を理解して、彼らしくないものすごく気障なセリフだなぁと他人事のように思った。




