「あぁ、知ってるも何も。こいつを育てたのは俺みたいなもんでな」
「誰が! 適当なこと言ってんじゃねぇぞアル! って違う! お、オレはラグなんて名前じゃ」

「アル」という愛称呼びに、余程の仲なのが窺えたけれども、それでもまだ白を切ろうとするラグ。
 ひょっとして、このアルディートさんもストレッタの術士なのだろうか。

(先輩とか、そんな感じ?)

 だとしたら、私の中の“ストレッタの魔導術士”のイメージがガラリと変わることになる。
 気さくで明るいお兄ちゃんという感じのアルディートさん。ラグとはまるで逆の印象だ。
 だがセリーンは私とは違う箇所が聞き捨てならなかったようで……、

「育てただと!? なんて羨ましい……私など、少しの時間しか会えないというのに……!」

そう、悔しげに腕の中のラグを一段と強く抱きしめていた。