「や、わかんないけど……ほら、蛇って確か寒いと冬眠しちゃうし。ビアンカは蛇じゃないけど、似てるしさ」
「あの神導術士はそんなこと一言も」
「――そうか。ビアンカはこれまでこんな寒い地に来たことはなかったはずだ。ビアンカ自身もきっと知らなかったのはないか? だとしたらライゼ達も知らなくて当然だ」
「そうそう! そうだよきっと!」

 セリーンの冷静な言葉に私は何度も相槌を打つ。
 まだ冬眠と決まったわけではないが、そうである可能性が高くなり少しほっとする。

「でもこのままじゃまずいよね。いつ起きるんだろ。暖かくなるのを待ってるわけにもいかないし……ライゼちゃん絶対心配するよね」
「そうだな、それに私たちもこれからどうする。お前はここがどのあたりかわかるか?」

 セリーンは抱きかかえたラグに緩みまくった顔を近づけ訊いた。

「やーめーろ!! ったく、さっき落ちている最中、町が見えた気がした。多分、少し下りて行けばノーヴァへの街道に出るはずだ」
「そうか。では一度町へ入りビアンカのことを考えるとしよう。やはりこう寒いと頭が回らん。それに腹が満たされれば良い案も浮かぶはずだ」
「結局飯かよ」
「ははっ、ふぇ……っくしょぃ!」

 またもくしゃみをした私を見て、セリーンが眉を顰める。

「カノンもこのままでは本当に風邪をひいてしまうぞ。とにかく町へ向かうとしよう」
「わかったから、いい加減降ろしやがれ!!」
「いやだ」