びっくりして思わず柊空さんの腕を掴むと、大丈夫だよ、と手の平を握ってくれた。

車はそのまま空に浮かぶトンネルの中へと入り、淡い光を帯びた暗い空間に入るなり、ロボットのような機械音が聞こえてくる。



近未来って…本当にこんな感じなんだ。




「 す、凄い…。 」

『 300年前にも、こんな感じのがあったんでしょ? 』

「 あったけど…私の知ってるトンネルは、もっと暗くて山道とかに…うわっ?! 」




柊空さんの手を握り締めながら答えていると、車はいつの間にかトンネルを抜け、街の空を飛び始める。

私の反応を見るなり、緋衣先生は笑いながら〔 大丈夫だよ、落ちないから。 〕と言ってくれるけど、こんなの怖いに決まってる。握り締めた手に力を込めて目を閉じていると、柊空さんは『 ほら、外見て。これが未来の街だよ。 』と言った。


だからそれに釣られて目を開き、窓の外を見てみると…。





「 …わ! 」




そこに広がるのは、夜とはまた違った雰囲気の街。



この車以外にも空を飛んでいる車は沢山あって、地面を走っている車も少なくはない。
四角い建物だったり、私が居た時代では見たことがないようなものだったり、言葉では上手く言い表せれないものばかりだった。

自然と柊空さんから手を離し、窓に張り付いたように景色を見ていれば、柊空さんも緋衣先生も嬉しそうに笑ってくれていた。

そのまま車が地面へと着地したのは、昨日のあの場所から少しだけ離れた所。




「 ありがとうございます…! 」

〔 大丈夫だよ。ほら、あそこが昨日の場所。 〕




緋衣先生の手を借りて車から降りると、雪が再び地面に薄く積もり始めていた。

ひんやりとした空気に包まれて肩をあげると、気をつけてね、と言いながら車椅子を広げる緋衣先生。